2024/07/06 #知識

【仕事を忘れる、覚えられない方必見】メンタル不調になって記憶力が落ちた感じありませんか？【記憶・ワーキングメモリ】　

認知機能障害の中から“記憶”・“ワーキングメモリ（以下：WM）”についてご紹介します。

＜今回の内容＞
記憶・WMとは
　✓記憶
　✓WM
記憶・WM×仕事
　✓記憶・WMを鍛えるためには？
さいごに

記憶・WMとは

前回コラムでお話した、注意機能の次に基礎的な認知機能になります。
前回のコラム（注意機能）はこちら
→https://www.1more.jp/column/962/

記憶とは

簡単に言うと“覚えておく力”です。
脳は「記銘」「保持」「想起」という３つのステップで、記憶をコントロールしています。

自分や物の名前が書けたり、過去のエピソードを話したり、自転車に乗る時など、これらの場面ではすべて記憶を必要とします。覚えている時間によって、数十秒～数分程度覚えておくのは短期記憶、それ以上長く覚えておくのは長期記憶と呼ばれてます。

WM（ワーキングメモリー）

作業記憶とも言いますが、簡単に言うと“一時的に覚えて処理する力”です。
WMの役割は、①入ってきた情報を脳内に一時保存する②どの情報に対応すればよいのか整理する③不要な情報は削除することです。これらを行うことで、瞬時に適切な判断を行うことができるのです。

例えば、電話を受けた時、相手が言った内容を覚えておきながらメモを取る、SMSに届いた認証パスワードを覚えてサイトに入力する、本でレシピを調べながら料理を作るなど様々な場面でWMを使っています。

記憶・WM×仕事

仕事をする上で、記憶やWMはどのような場面で使っていると思いますか？実は冒頭でもお伝えした通り、WMや記憶は注意機能の次に基礎的な認知機能なので、様々な場所で使われています。Aさんの出勤～退勤までの流れを見ながら、一緒に確認してみましょう。

どうでしたか？私たちは何気なく日々過ごしていますが、仕事場面だけでもたくさんの記憶・WMの認知機能を使っています。ご病気の特性上、複数の情報を瞬時に処理するのが苦手な方や病気になってから物覚えが悪くなる方も多くいらっしゃいます。その場合、記憶やWMをカバーしていく工夫が必要になります。

記憶・WMを鍛えるには？

注意機能と同様に、記憶・WMに苦手がある場合の対処法は“機能の改善”と“工夫（環境整備）”です。
機能の改善とは、苦手な機能を鍛えることを言います。ワンモアでは認知リハというプログラムの中で、コンピューターゲームを用いてＷＭや記憶を鍛えてもらっています。
例えば、神経衰弱や4つのライトが光った順番を覚えて回答するもの、メールの文章を覚えて質問に答えるものなどが挙げられます。体の筋トレと同じように、記憶やＷＭなどの認知機能も使わなければ衰えてきますので、意識してトレーニングすることが大切です。

工夫（環境整備）とは、様々な方法で記憶やWMを補う方法になります。認知リハの中には、日常生活でどんな認知機能を使っているか、苦手な機能に対してどう工夫をしていくか考えるセッションがあります。先ほどのAさんの例をもとに少し考えてみましょう。

この例では、口頭指示のみだと記憶に残りづらかったため、見える化（メモに残して目につくところに貼る）するという工夫によって、業務が円滑に進むようになりました。その他にも、手順を覚えられない方はマニュアルや手順書を作成しておく、複数の業務を同時進行で進めることに困難さを感じている場合は、やらないといけないことをすべて箇条書きにして書き出し、優先順位を決めて１つずつ取り組んだり、上司と相談して１つずつ業務を割り振ってもらったりする工夫をされる方もいます。ここでいう工夫とは、必ずしも自分で対処しなければいけないのではなく、職場や周囲にも協力をしてもらいながら補っていくのも工夫の一つです。このように、職場に働きやすいよう協力をしてもらうことを合理的配慮と言います。合理的配慮について詳しく知りたい方は、こちらのコラムで詳しくお話しています。