【処理速度】処理速度が低い人って?~対処法と向いている仕事~
「処理速度」と聞くと、皆さんはどういったものを想像されますか?病院などで受けられるWAISやWISCなどの発達検査や、認知機能のリハビリテーションでは、度々この言葉を使用します。
今回のコラムでは、注意機能、記憶・ワーキングメモリに続いて、精神疾患で低下しやすい脳の機能の一つである処理速度についてご紹介します。
前回のコラムはこちら
→【仕事を忘れる、覚えられない方必見】メンタル不調になって記憶力が落ちた感じありませんか?【記憶・ワーキングメモリ】 (https://www.1more.jp/column/1038/)
処理速度とは
処理速度(情報処理:Information Processing)とは、“速さを合わせる、調整する力”あるいは“慣れている作業を素早く行う力”のことを言います。処理速度は脳の機能だとお伝えしましたが、こう聞くと運動にも関係している話だと思えてきませんか?実は運動だけではなく、日常生活の色々な場面で処理速度を必要とします。運動も含めて、日常生活で処理速度が必要になる場面をご紹介します。
処理速度を必要とする場面
例えば、エスカレーターに乗るときには転んでしまわないように、足元が動くスピードに身体を合わせて足を乗せていますし、キャッチボールをするときにもボールのスピードに合わせて身体を動かしています。人と並んで歩くときも、相手の歩くスピードを意識して歩きますよね。このように、動いている物や人に合わせて自分の身体のスピードを調整する能力が、処理速度です。
〇エスカレーターに乗る
〇キャッチボール
〇人と並んで歩く
もう一つの処理速度である”慣れている作業を素早く行う力”については、慣れている作業が人それぞれのため、皆さんが同じ場面で処理速度を必要としているわけではありません。例えば、料理が得意な方の中にはキャベツの千切りがとても速く行える方がいますし、パソコンが得意でタイピングが早い方もいます。このように、皆さんそれぞれの慣れている作業を素早く行おうとするとき、処理速度が発揮されます。
〇キャベツの千切り
〇パソコンのタイピング
処理速度✕仕事
では、仕事をする上でどんなときに処理速度が必要となるでしょうか?
処理速度が必要な仕事場面
”速さを合わせる、調整する力”が必要になる仕事の例が、ベルトコンベアなどの流れ作業です。流れ作業では、流れてくる商品のスピードに合わせて作業しなければいけません。
その他には、トラックやタクシーの運転手も対向車や歩行者の動きに合わせて運転する必要があるため処理速度が発揮されます。機械を扱う仕事や人と協力して行う業務で処理速度を使う場面が多いようですね。
また、先ほどお伝えしたように、”慣れている作業を素早く行う力”は人それぞれ発揮される場面が異なるので、皆さんが今行っている、あるいは行っていたことのある業務を素早く行うときにも、処理速度が必要になるでしょう。
〇ベルコンベアで流れ作業を行う
〇車の運転
処理速度を仕事で発揮するために
処理速度が必要となる仕事をされている、あるいはそのような仕事に興味がある方は、まずはご自身が処理速度を必要とする動作が得意か不得意か考えてみましょう。このコラムで例に挙げた動作や今あなたが良く行っている動作が、スムーズに行えているか、素早く行えているか思い浮かべてみてください。得意だなぁと思える動作では、すでに処理速度がうまく発揮されている可能性が高いでしょう。反対に、この動作は苦手だなぁと思うものがあれば、それはまだ動作自体に慣れていないために処理速度が発揮できていないのかもしれません。苦手だと感じるものも、練習を続ける中で段々と慣れてスムーズに行えるようになることもあるでしょう。
動作にはそれぞれ「コツ(スムーズに行うための工夫)」があるため、自分でコツを考えたり他の人に聞いてみたりするのも方法の一つです。また、例えば動作手順がまだ覚えきれていない、気になることがあって作業に集中できないなど、他の認知機能の影響で動作がスムーズに行えていない可能性もあるので、よければ過去のコラムを参考に、自分が作業しやすい環境を整えてみてください。
さいごに
今回のコラムでは、認知機能の中の処理速度についてご紹介しました。
記憶力や注意力に比べると、普段の生活であまり意識することの少ない機能かもしれませんね。しかし、お仕事をする上で大切になる機能でもあります。ワンモアでは、処理速度を含む認知機能に苦手意識のある方を対象に、認知機能リハビリテーションのプログラムを実施しています。ワンモアでの支援にご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。