【休職・復職】メンタル不調(適応障害、うつ)の休職期間はいつまで?【有給・無給】
ストレスが原因で休職に至る方は年々増えています。令和5年度の傷病手当金の支給原因の35%は精神障害及び行動の障害が占めています。眠れない、気分が落ち込む、急に涙がでるなどの症状が出現し、出社できなくなったり、頭が上手く働かなくなりミスを連発してしまったり、上司からの勧めで病院受診、休職に至る人も少なくありません。
参考:全国健康保険協会.現金給付受給者状況調査(令和5年度)
現金給付受給者状況調査(令和5年度) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会
しかし、「休職してゆっくりしてください」と言われても、「いつまで休めるのかな?」「本当に良くなるのだろうか?」「早く復帰しないと…」など、不安や焦りが出てきて上手く休めないという方も多数いらっしゃいます。
今回は、休職初期のお悩みの中でも、休職期間について解説していきます。
目次
1 休みの種類を確認する
2 就業規則を確認する
3 復帰基準と手順を確認する
4 まとめ
1 休みの種類を確認する
休みと言っても色々な種類があります。直ちに休職になるのか、休暇になるのか、それぞれの会社でルールは異なります。
●休暇
休暇には、法律で定められている法定休暇と会社が独自で定めている特別休暇の2種類があります。
病気(傷病)休暇とは、治療などが必要な疾病等、治療を受けながら就労する労働者をサポートするために付与される休暇です。有給休暇とは別に付与されるお休みですが、有給・無給は企業によって異なります。また、通院や復職後のリハビリ出勤のために時間単位、半日単位で取得することができる場合もあります。しかし、導入している会社は多くない上に、無給になってしまうケースも少なくありません。(公務員の場合は、法律で病気休暇の取り扱いについて定められており、連続して90日間有給で休暇を取ることができます。)
病気(傷病)休暇制度がある場合、まずは病気(傷病)休暇を活用し休暇期間を過ぎても回復しない場合、休職へと移行します。
参考:厚生労働省.病気休暇制度周知リーフレット
出典:人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇) 第21条 第1項|
●休職
休職とは、労務に従事させることが不能または不適当な事由が生じた場合に、会社が労働者に対し労働契約そのものは維持させながら労務への従事を免除することまたは禁止することを言います。休職制度については法律上の定めはありませんが、多くの企業では就業規則内に休職について規定しています。(休職が就業規則に定められていなくても、病気だけを理由にすぐさま解雇することは難しいでしょう。)
メンタル不調での休職は、”傷病休職”にあたります。傷病休職は、業務外での病気や怪我を原因として休職することです。就業規則には、休職する際の手続き、休職期間、給与の有無、社会保険料の支払い、休職期間を満了した際の取り扱いなどについて記載されていることが多いです。企業によっては、「期間の定めがない」「休職中の過ごし方」「復帰の手順」について記載していることもあります。休職期間についても企業によって様々です。
2 就業規則を確認する
就業規則は、「就業規則の周知方法(労働基準法施行規則52条の2)」で労働者に周知することを義務付けられています。方法については、①常時各作業場で掲示、または備え付けている②書面を交付する③記録媒体に記録した上で労働者が該当記録の内容をいつでも確認できる機器を各作業場に設置することとしています。イントラネット(社内ネットワーク)が整備されている会社であれば、ネット上で確認できるようになっているでしょう。
どこにあるかわからない場合は、人事担当者や上司に確認することをお勧めします。人事や上司に急に「就業規則を確認したい。」と言うと、驚かせてしまうことがあるので、以下のようなセリフで伝えると、復帰に対する焦りや休職する不安を上手に伝えることができます。
独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、傷病休職の期間の上限は、「1年~1年6ヶ月未満」と回答した企業が最も多く、次いで「6ヶ月〜1年未満」「1年6ヶ月〜2年未満」となっています。会社の規模が大きくなればなるほど休職期間が長くなる傾向があるようです。(公務員の場合は、最大3年間の休職が法的に認められています。)
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構.労働条件の設定・変更と人事処遇に関する実態調査ー労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅱ)ー.国内労働情報14-12.
国内労働情報 14-12 労働条件の設定・変更と人事処遇に関する実態調査 ―労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅱ)―|労働政策研究・研修機構(JILPT)
3 復帰基準と手順を確認する
復職の重要な基準は、「職場で必要とされる業務遂行能力まで回復していること」です。まずは、ゆっくりと心と体を休めて病状が安定することを目指します。日常生活が問題なく行えるようになったら、リワーク施設に通うなどして、活動量を増やし、体力の回復、ストレスマネジメントスキルの向上を目指します。下記の項目について取り組むと良いでしょう。主治医と相談しながら自分の状態に合わせた復帰の目安を確認しておきましょう。
復職に向けて準備することについてはこちらのコラムに詳しく解説しています。
【休職中の過ごし方】メンタルダウンから復職に向けて今できること – 就労移行支援と企業向けメンタルヘルスサービスを提供しています – ワンモア
主治医から復職可能の診断を受けたら、人事担当者に連絡します。人事との面談、産業医面談など復帰までの手続きは1ヶ月程度かかることがあります。また、企業によっては休職期間中に通勤訓練や試し出勤を行う場合があります。例えば、1年間の休職期間があったとしても1ヶ月は試し出勤を行わねばならない決まりがある場合、人事・産業医面談の手続きも含めると自宅で療養できるのは10ヶ月程度になることもあります。企業によって、復帰までにかかる期間は様々です。復帰の手続き・手順についても就業規則や人事担当者にあらかじめ確認しておくと安心です。
出典:厚生労働省.心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援に手引き〜メンタルヘルス対策における職場復帰支援〜
4 まとめ
今回は休職期間についてまとめました。会社の制度を確認することで、安心して療養に専念し、復職を目指すことができます。しっかりと休めることは回復に向けての大切な第1ステップです。休職開始当初は、自分で調べる気力もないかもしれないので、ご家族の力を借りたり、電話ではなくメールで確認したりすると少し取り組みやすくなるかも知れません。
ワンモアでは、スムーズな復職をサポートするリワーク支援を行っています。興味がある方は、お問合せボタンからお気軽にご連絡ください。