COLUMN
#卒業生の声 #実績紹介 #知識

就職後のサポートって?~フォローアップと定着支援について~

今回は、就職が決まりワンモアを卒業した後のフォローアップと定着支援についてお話します。

5/13(土)にワンモア豊中では、「教えて先輩」というセミナーを開催しました。ワンモアの卒業生3名が講師として登壇し、ワンモアに通所していた時、就職当時、現在のお話をしてくださいました。ワンモアに通うことで同じような状況に置かれたいろいろな人とお話出来たこと、SCITやCBTを通して考え方や行動のパターンが広がったと話されていました。

ワンモアでは就職後も面談や電話・メールなどの定期連絡、会社訪問などを通じて定着支援を行っています。多くの方は、就職1ヵ月目は週1回電話かメールで近況報告、月に1回は対面での面談を行います。会社の承諾が得られたら、会社訪問も実施します。就職後3ヵ月から6ヶ月は、定期報告や面談を実施しながらサポートしていきます。就職7ヶ月目以降も定期的な支援を希望される場合には、定着支援サービスを利用していただくこともあります。

定着支援とは、就労移行支援などの利用を経て一般就労し6ヶ月経過した方に対して、就労継続を図るために職場や医療機関などとの連絡調整、就労に際して生じる日常生活での問題に関する相談、助言などその他必要な支援を行うサービスです。使用期間は3年間となっています。

卒業後の支援の例をご紹介します。

例:障害者雇用で就職したAさんの場合

就職1か月目

出勤初日にスタッフも同行し、職場でのあいさつや職場の説明を一緒に受けました。1時間程度でスタッフは退席し、業務終了後、お電話で終了報告をして頂きました。

Aさん「業務終了しました。すごく緊張したけど、何とか終わりました。明日もあるので今日はゆっくり休みたいと思います。」

スタッフ「お疲れ様でした。今日は職場の説明がメインでしたね。就職して1月は、「時間通り出勤すること」が目標ですから、今日は💮ですね焦らずゆっくり進めていきましょうね。」

その後は週に1回金曜日に電話、週次報告をしてもらいました。職場から承諾を得ていたので、月の半ばに会社訪問を実施し職場担当者とスタッフの顔合わせ、本人の特性や症状について説明を行いました 。説明にはワンモア通所時にまとめていた資料を活用しました。

お伝えした内容

 ・新しい環境では不安や緊張が強く疲れやすい。そのため、1時間に1回5分程度離席して休憩を取りたい。

 ・焦りが強く、頑張りすぎてしまうことがあるため、ひとつずつ業務を覚えるようにし、ゆっくりと慣らしていきたい。

 ・診察について 月に1回土曜日に受診

 ・お薬について 朝と夜に服薬中(調子が悪い時には、頓服も服用しています)

就職2か月目

勤務時間に合わせた生活リズムが安定してきたころです。2か月目も電話での週次報告と月に一回の会社訪問を継続しています。

Aさん「少し体は慣れてきたように思います。でも、仕事は全然覚えられなくて、役に立ててないんじゃないかって、不安になります。」

スタッフ「体が慣れてきたのはいいことですね。まだ勤務を始めて1ヵ月しか経っていないので、仕事を覚えていなくても仕方ないですよね。丁寧にひとつずつ覚えていきましょう。」

会社訪問では、生活リズムは安定したが、貢献できていないのではないかという焦りがあることを職場担当者に伝えました。

職場担当者「休まずに勤務できていることが大切です。業務はゆっくり覚えて、正確に出来るようにしてください」

就職3か月目

定期報告と会社訪問を継続、業務が少しわかってきたこともあり、作業を進めやすくなってきました。一方で、休憩を取らずに作業をしたり、業務に集中しすぎたりすることがあり、週末はぐったりしてしまうようです。

Aさん「もっと(仕事を)やらないとと思って、仕事をしていると休憩を取り忘れたり、気づいたら終業時間を過ぎていたりしてて…家での仕事のことを考えてしまって…ちょっと辛くなってきました」

スタッフ「大切なのは長く働き続けることです。そのためには、疲れ具合やストレスを自分で理解して、適宜休憩したり気分転換したりすることが必要ではないでしょうか?今頑張り過ぎませんか?」

Aさん「ちょっと頑張り過ぎたかもしれません。焦り過ぎたかもしれないです。」

スタッフ「そうですね。焦る気持ちはあっても、意識して休憩を取る、難しい時はアラームなどを活用しても良いかもしれないですね。」

職場担当者「アラームを鳴らしてもらっても全然問題ないですよ。まだ3ヵ月ですから、ゆとりを持ちながら働いて下さい。」

就職4~6カ月

定期報告と会社訪問は月一回のペースで継続しています。職場に対して、同僚や仕事の進め方に対して不満や意見を持つようになり、伝えていいものか、どう伝えたらよいのか悩むようなことも増えてきました。

〈 Aさんから電話相談 〉

Aさん「もっと効率よく作業を進める方法があると思うんですけど、他の方も精一杯やってるみたいだし、色々言うのもなって…伝えて相手が傷ついたらどうしようと心配だし。こういうことは、上司が指導した方が良いと思うんですよね。」

スタッフ「進め方に意見を持つようになるとは、習熟してきた証拠ですね。伝えるのは難しいことですが、上司はいつも作業を見ているわけではないから、Aさんから上司に報告したり、相談したりすることが必要かと思います。伝えたことはありますか?」

Aさん「上司なら報告がなくても把握しておくべきだと思います。」

スタッフ「上司がすべてを把握しているのは、こまめな報連相があるからです。伝えていないことは、伝わらなくて当然ですよね。察してもらうのではなくて、こちらから相談した方が解決が早いのではないでしょうか?」

Aさん「伝え方とかタイミングとか、いろいろ難しいです。」

スタッフ「そうですね。会社訪問した際に担当者の方に相談してみましょう。もっといい業務の進め方があると思うけれど、誰にどう伝えていいのかわからず困っているということや、上司に相談しようにもタイミングや伝え方が難しいと話してみましょう。」

Aさん「わかりました」

〈 会社訪問 〉

スタッフ「Aさんから相談がありまして、業務の進め方や、報連相について困っていることがあるそうです。Aさんお話できますか?」

Aさん「はい。発送作業の進め方で、もっと効率よくできる方法があるとおもうんですが、誰に伝えていいかわからなくて。うまくいってないように感じています。相談しようにも誰にどう伝えていいかわからないんです。担当者さんならもう気付いていると思うんですが、どうしたらいいでしょうか?」

職場担当者「発送作業がうまくいってなかったんですね。時間通りに完了して下さるし、ミスもないから問題ないと思っていました。様子は見ていたのですが・・・お話してくださってありがとうございます。進め方については、柔軟に変更できればと思うので、明日の作業の時間にお話ししましょう。

 相談の時間や方法については、いつも書いていただいている日誌に相談したい旨を書いておいてください。確認したらお声かけしますので。」 Aさん「確かに時間をオーバーすることはなかったし、ミスもないなら気付かないですよね。もっと早く相談すればよかったです。今度から日誌に書くようにするのでお願いします。」

就職7か月目(定着支援開始)

引き続き月一回の会社訪問や面談を実施してほしいという希望があったため定着支援サービスを利用して頂くことになりました。もともと希望していた一人暮らしの準備を進めたいという希望もあったため、会社訪問とは別で生活についての面談を行うことになりました。

〈 ワンモアでの面談 〉

Aさん「相談も徐々にできるようになったし、業務にも慣れてきたので落ち着いています。そろそろ一人暮らしの準備も進めようかなと思うのですが、そういうことって相談できますか?」 スタッフ「もちろんです。仕事に影響が出ないように、スケジュールを立てて進めていきましょうね。まずは今のお給料で生活費が賄えるか検討しましょうか。」

就職8~10か月目

一人暮らしに向けてインターネットで物件を探し始めたころ、職場で人事異動があり担当者や同僚が別の部署に行ってしまいました。新しい人は来てくれるので、Aさんの業務に変更はないのですが、環境の変化で落ち着きなく、焦りが出てきました。

Aさん「新しい担当者さんは良く声かけしてくれるし、相談もしやすいです。これまで通り何かあれば日誌に書いておいて、対応してもらうことになりました。でもみんな忙しそうで…ばたばたしてるのを見ると、私も休憩を取るのを忘れたりして疲れがたまってきました。」

スタッフ「業務に変更はなかったと聞いていますが、周りの雰囲気にのまれてしまっているみたいですね。昼休憩以外の午前・午後の小休憩は意識して取るようにした方がいいと思います。アラームをかけたりすることはできていますか?」

Aさん「アラームが鳴っても止めてそのまま作業してます。」

スタッフ「それだと、疲れてしまいますね。」 職場担当者「今月に関しては私も気づいたら声をかけるようにしますね。休憩時間ごとに声かけはできないかもしれないけど、休憩できたかどうか聞きますね。取れていなかったら、声かけしたタイミングで休憩してください。」

Aさん「それだととても助かります。お願いします。」

就職1年から1年半

人事異動があり一人暮らしの準備はいったんストップしていましたが、環境にも慣れ落ち着いてきたので、再開することになりました。

スタッフ「現在のお給料と障害年金を合わせると生活はできそうですね。家賃は固定費なので、抑えられるなら抑えた方がいいと思います。住みたいエリアは決まりましたか?」

Aさん「はい。会社と実家の間くらいにしようと思っています。家賃もそれほど高くないし、治安も問題なさそうです。」

スタッフ「いいですね。スーパーの位置なども確認しながら物件を選ぶといいと思いますよ。」

Aさん「母が内覧に一緒に来てくれるので、いろいろ見てこようと思います。」

就職2年~3年

引っ越しも無事終わり、徐々に生活にも慣れてきました。風邪を引いたり、部屋の故障で困ることはありましたが、家族やスタッフのサポートがあり、なんとか解決することができました。仕事も一人暮らし当初はリズムがつかめず疲労が強くなりましたが、職場の方の理解もあり、スタッフと相談の上、有休を使うことで対応することができました。

Aさん「念願の一人暮らしもできて、仕事も順調で。このまま続けられたらいいんですが…定着支援は今日で最後だからなんだか不安ですね。」

スタッフ「3年間働き続けることができましたね。今後も続けていくためには、適度な休憩とストレスマネジメント、報連相をしっかりしていくことが大切ですよね。」

Aさん「そうですね。多分今後も業務内容に変更があったり、家族に何かあったり、困ることも出てくるじゃないかと思うんですけど、そういう時は相談してもいいですか?」

スタッフ「もちろんです。毎月の面談や会社訪問は、安定しているから必要ないかもしれないですが、もし困ることがあったら連絡ください。

必要があれば会社訪問もさせていただいていいですか?」

職場担当者「そうですね、人生何が起こるかわからないし。何かあれば連絡いただけたら、対応しますよ。」

Aさん「ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。」

この例で行った支援についてまとめてみました。

困ったことあれば相談できる先があることは大きな安心につながります。就職以前の様子を知っているスタッフであれば的確なサポートが受けられるでしょう。
 利用者さんによっては、業務に慣れるまで職場で一緒に作業を行い支援することもあります(ジョブコーチと言います)。スムーズに仕事に慣れることができるでしょう。
家庭環境の変化など職場で相談しにくいけれど、仕事に影響が出てしまいそうなときも、フォローアップや定着支援は心強い助けになるでしょう。スタッフと相談して、解決策について考えたり、必要な支援・サービスについて情報提供してもらったりすることができるでしょう。職場に事情を説明する際も一人で難しい時には、スタッフ同席のもと一緒に進めることができます。
定着支援終了後の対応は、事業所によって様々ですので、利用する事業所にご確認ください。ワンモアでは、サービスが終わった後も、困ったことがあればご連絡いただいています。お困りごとに応じて無料で面談を行ったり、会社訪問、診察同行など必要な支援を行なっています 。

今回は、就職後のサポートについてご紹介しました。

もっと詳しく聞きたいなど、興味を持たれた方はお問い合わせフォームからご連絡ください。


丸

CONTACT

お電話でのお問い合わせ

受付時間:平日10:00~17:30
豊中・
千里中央
06-6852-3007
三宮
078-262-1070
八尾
072-975-5211

メールでのお問い合わせ

詳しいサービス・サポート内容など
お気軽にお問い合わせください。

トリのイラスト トリのイラスト
トリのイラスト
木のイラスト