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MUHOOカウントダウン企画第2回 「法定雇用率の向こう側」その1~障害者雇用の現状~

仲地:皆さん改めましてこんばんは。今日はMUHOOの、カウントダウン企画の第2回を開催していきたいと思います。ここは大阪の豊中にあります、スタジオコントレイルさんからお送りしております。どうぞよろしくお願いいたします。

合同会社キングコングの仲地とそして。

金川:はい、私ワンモアの金川と申しますよろしくお願いします。

仲地:今日のメインテーマは「法定雇用率の向こう側」ということで、皆さんそのタイトルにいろんなことを想像しながらご参加いただいてるんじゃないかなというふうに思います。そしてサブテーマといたしましては「質と文化の構築」という風にいたしました。

我々作業療法士が就労支援する中でどのようなあり方が重要なのか、これの今後のあり方を話してみたいなと思ったんです。今まで金川さんが交渉される研修っていうのはHow toというか、例えばアセスメントとかそういう就労支援の方法論やプロセスをお話しすることが多かったんじゃないかなと思うんですけども、今日は今後未来を見据えて我々はどういう気持ちでやっていかないといけないのかそういうことを話していきたいというふうに思ってますのでどうぞよろしくお願いいたします。

金川:はい、お願いします。

仲地:はいこの企画ですね、MUHOOのカウントダウン企画ということですので、最初にまずこの企画の趣旨をご説明させていただこうというふうに思います。こちらのポスター、貼ってありますけども、今年の11月に沖縄で開催されますOTの全国学会、その初日の晩に学術的交流イベントと呼んでますけどもMUHOOというイベントを開催したいと思います。このMUHOOですね今までに全国学会、コロナ禍になる前ですね全国学会の初日の夜にやって3回ほど今までも実施しておりました。で、いろんな全国で活躍するOTの方々の対談があったり、活躍する方々と交流できる、そういうような場を作ろうということで実践してまいりました。

そして今回はもうファイナル、これでもうラストです。これよりまた若い人たちが、これより面白いことを考えて実施してほしいなと思って今回ファイナルにしました。

金川:はい、そうですね。

仲地:はいこの辺でちょっと区切りをつけたいなと思っています。で今回は非常にまあ豪華メンバーで対談の方はですね竹林さんと友利さん。で高畑さんと仲間さんね。で金川さんと本広さん。この豪華メンバーで対談があると。

仲地:また対談以外にもですね、全国でご活躍されてる方々がpower push OTとして会場に来ていただけるということで、こういう方々とぜひ多く出会ってつながりを作って羽ばたいてほしいなというふうに思ってます。

金川:会場で皆さんおられて、その方々と、ちょっと話したいなと思ったら声かけたりというのが全然OKな。

仲地:そういうことですよね、はい。ぜひ皆さん足を運んでいただきたいと思います。

仲地:ということでね、本題に入っていきたいというふうに思います。障害者雇用ということで、雇用促進法における法定雇用率が最近発表になって、どんどん上がっていくっていう方向ですね今。現行の2.3から来年から2.5。で、令和8年には2.7になるまで決まっているというような状況です。これだけどんどん上がっていくというような状況がありますと、企業の方もかなり焦っていたりとか、この障害者雇用っていうのに力を入れて本腰を入れていかないといけないっていうような企業が多くなってくる。これが未達成だと企業名公表とかですね、そういうことにもなりますし。もちろん未達成の分の納付金が発生しますので会社としても必須になるということで近年非常に企業さんの方も力を入れ出ている。

これがうまくいけばいいんですけども、どうも社会に歪みを呼んでる部分もあるんじゃないだろうか、そういうような懸念も最近してるんですね。なのでその辺のことも含めながら、実際よく進んでる部分と何かちょっとつまずきや歪みになってるんじゃないかって思うようなこと。今日はこの両方話ししたいなという風に思います。

しかしですねこの歪みの場と私が言う部分ってなかなか主観的になってしまってもいけないので、ちょっと皆さんと現状を共有しながらその辺をしっかり見つめていきたいなというふうに思っておりますので、まずは最初に金川さんの方から昨今の障害者雇用における現状を少しお話いただいて、皆さんと情報を共有した上で話を進めていきたいなというふうに思ってます。

金川:はい、そうですね。私の方よりちょっと現状お話させていただきたいと思うんですけど、その前にちょっとだけなんですけども今回私の方でお話もさせてもらおうと思ってるのが、さっき仲地さん言ってるように今までにHow toの話したんですけどもこれで文化の構築とかやっぱ世の中、社会に対して社会課題に対して我々作業療法士が何かできるのかっていうのはすごく大事なテーマだと思っているんですよね。なので今回はその障害者雇用とか人が働くっていうところに対して課題がある。で、どんな現状課題があるのかそれに対して我々が作業療法士として何ができるのかというところを皆さんと一緒に考えるというか何かきっかけになっていただくような時間になればなっていう風に思っております。ですので障害者とか就労支援があまりよくわからない、言葉がよくわからないってあると思うんですけど、世の中でこんなこと起きてるんだっていうところと、それに対して我々はこういうことをできるんじゃないかなとかっていうのが皆さんの中でちょっと近い話題になればいいかなっていうのは我々の願いとしてございます。そういったポイントで、ちょっと耳を傾けていただけると非常に嬉しいなっていうふうに思っております。

ではですね、その話をする上での論点整理みたいな感じで現状を少しお話しさせていただきます。日本の障害者雇用の現状というところです。

まず障害のある方っていうのは急激に増加をしているっていう現状がまずあるということ。一方で離職する障害のある方も一定数いるということなんですね、これ課題なんです。その原因と考えられるのが就職や雇用を急ぎすぎて個人と環境のマッチングがおろそかになっているというところがあります。最後ここが今日一番大きなテーマになるかと思うんですよね。障害者雇用を増やしていく。数の達成がやっぱ主眼になっているとでそうなった時に数ばかりを追うことにより一個一個の質がおろそかになっているこの現状があるというところです。この四点を簡単に説明していきたいなというふうに思います。

まずはこの図ですね、ハローワークにおける障害のある方の職業紹介の状況です。

金川:見ての通り右肩上がりでどんどん増えてて。ここコロナがあったんでちょっと減ったんですけどまた右肩に上がってると。でこれ最新も令和4年出てるんですけど、さらにこれ上がってるんですよ。なんで全般的に障害のある方のお仕事したいっていう方の数です。お仕事したいよって方の数がどんどん増えているっていう現状があります。で、これ同じくなんですけども実際それで働いてる方の数、就職が成就した人の数ってのもどんどん増えているということがあります。なのでここで押さえていただきたいのは働きたいよっていう障がいのある方が増えていって、かつそれで就職が成就される方も増えているというところがございます。

次のこの図なんですけども、これ障害者雇用、実際働いている方がどれだけいるかっていう話です。まずこの黒いやつを見ていただくと、これが法定雇用率の推移になります。法定雇用率っていうのは、企業っていうのは全従業員のうちの何パーセント障害のある方は当たらなくちゃいけないっていうのが法律で決まっていますね。その数字は国が決めるんですけども、その数字っていうのは年々変わっていくんですね。現在は2.3%です。これがさっき仲地さんが言ったみたいに今後2.5、2.7って上がるように決まってます。でこれも見てわかる通り今後も上がるしかないです。下がることはもうほぼないので、どんどん上がっていくっていう現状があります。なので企業はどんどん障害者の方をとっていかなくちゃいけない状況になっているというところがあります。

金川:じゃあその雇用率っていうのを達成してる企業っていうのはどれだけいるかっていうと、達成している企業が半分、達成してない企業が半分と言われています。ただこの達成してる企業の多くは日本でいう大企業なんですね。日本の企業の99%が中小企業と言われているので多くの中小企業が達成できていないという現状があるっていう所も言われています。

ですのでここで押さえていただきたいのは、障害者雇用率はどんどん上がっていく。企業はどんどん雇っていかなくちゃいけない現状である。でその数字を追いかけていくことによって、まだまだ多くの企業がなかなか雇用率が達成できていないという現状があるっていう所を抑えてください。

こういったものが進んでいく中でやはり離職する方が多くいるというのが言われています。精神障害のある方の半数は1年以内に離職をするというデータがあります。その離職の原因が、だいたいご自身の希望と職場とのマッチングが合ってない。要は就職することを急ぎすぎてなかなか自分の条件とかでが整理されていなかったり、逆に企業側も雇うことが急ぎすぎてなかなか相手の条件をちゃんとヒアリングできてないとか、そういった現状があったりしてこの退職する方も増えているっていう現状がございます。

こういった障害って難しいよねっていう問題の中で今出てきてるのがこういったビジネスの話です。仲地さんがちょっと冒頭で少し言ってくださったんですけども、障害者雇用代行ビジネスっていう話です。簡単に言うと皆さんのイメージで言うと、働くって自分の会社の中で一緒に働くってイメージがあると思います。一緒の職場で障害のある方もない方も一緒に働くみたいなイメージがあるかと思うんですけども、そういったことがなかなか難しいっていう会社がこのビジネス事業者が運営する畑なりなんなりというのがあるんですけど、こういった畑みたいなのを運営する会社と契約を結んで、そこに自分のとこで働く雇った障害のある方をここで働いてもらう。要は自分の会社とは全く別のところであえて働いてもらうっていうビジネスが今すごく日本の中で横行しているんですね。それを見返りとして利用企業はその事業者に対してインセンティブをお支払いする、というような仕組みなんですね。そこで育てた野菜とかを、例えば自社の中で売ったりとかで無料配布したりというサイクルをずっと繰り返すというところになります。

金川:なのでちょっと説明が難しくて理解がややこしい部分もあるかと思うんですけども、簡単に言うと自分のとこで雇った人を自分の職場じゃなくて全然違うところでお仕事をしてもらう、かつ自分の会社の本業ではない野菜を育てるみたいなようなこととか、何かを栽培するとかそういったお仕事に従事してもらうというビジネスが今非常に増えているって言うところがあります。

これに対して厚労省がこのビジネスに対する見解を示しています。結構社会的なインパクトがでかくてここのビジネスが出てきてまだ3、4年ぐらいしか経ってないと思うんですけども、このビジネスを使って働いてる障害者の方っていうのが、要は6500人ぐらい、障害のある方の雇用を生み出したっていうの言われてるんですね。以上なので、ざっくり多分1万ぐらいいるんじゃないかなっていう風に思っています。なのでこのビジネスが障害のある方の声を生み出したインパクトは非常にやっぱ大きいんじゃないかなっていう風に思っています。

厚労省の調査でも指摘されているのが業務そのものをやっぱ社会貢献と位置づけているので、成果物を社員に福利コースの一環で配布したり、成果物による収益はほとんど見込んでない、社会貢献なんですって割り切っている雇い方、人の雇用を社会貢献って割り切るというところですね。そのことをどう考えているかっていうところが一つ挙げられています。

それ以外にもですね、利用企業っていうものは業務の切り出しやソースに関わる検討を行う必要がない、要は障害者雇用に関して何も考えなくて良い、苦労を、コストをかけなくて良いという合理性が非常にあるっていうサービスだっていう指摘を受けています。あとは障害のある方、雇ってる方に負担をかけないように負担をかけられる販売は前提とした生産を進めないっていう事業者もあったりというところで、本当に自分たちがやった生産活動っていうものが世の経済の中で回らないような仕組みづくりというところがあります。

ですのでポイントとすると実際に雇用が生み出したインパクトってのは非常に大きいと評価されるべき点もありつつ、実際そこで働いてる人たちの質、雇用の質はどうなんだっていうところが厚労省からも提言されている部分ではございます。

それ以外も日本のその雇用政策っていうのはこういった特例子会社という制度であったりとか、要は障害のある方が自分の親会社だけで雇うのはなかなか難しいので、その障害のある方、専門の子会社を作ってそこに一挙に集めてですね、雇うっていう仕組みがあったりとかね。これは障害者雇用率を一会社で達成するのは難しいんでみんなでグループ組んでそこで障害者雇用率を達成しましょうみたいな仕組みがあったりとかで、この障害者雇用率を合理的にかつスピーディーに解決していくための仕組みになっているところが一つ特徴として挙げられるかなというふうに思います。

こういった仕組みに対して世界からはいろんなご指摘が入っているのは事実であります。ILOっていう人の雇用に関する検討部会というんでしょうかね、協議会みたいのが国の世界の団体であるんですけども、そこが出している話では、この雇用の質が非常に謳われております。雇用につき、それを継続し活動、それで向上することですね。機会及び待遇の均等教育すべきである、要は雇って終わりじゃなくてそこから向上したりとか、待遇をどんどんアップさせていくことが大事とうたわれています。なので労働者一般に運用される雇用及び賃金の基準に合致するものを増大するための措置を取るべきであるところなので、一般雇用の中で考えられているやり方も障害のある方に対してもどの適用すべきであるとね、賃金上げられる方に関してはどんどん賃金上げたりキャリア上げれる人はどんどんキャリア上げたりっていうことで、雇って終わりじゃなくてその後のことも考えていきましょうよと言われています。

金川:さっきいろんな施策の中で障害のある方だけを集めてやっていくみたいな話もしたんですけど、そこに関してもいろいろ言われる部分があります。障害者権利条約関する国連の勧告なんですけども、これは直接障害者雇用に関して言ったわけではないんですね。教育とかに関して主に言った話なんですけども、基本障害者施策全般に関して分離されていると。要はその障害のある方とない方っていうものを包括的、包摂的に一緒にっていう考えるんじゃなくてそれぞれを分離させる施策になってるんじゃないかっていう問題視がされているという現状があります。この中の障害者雇用にも適用されている考え方ではないかという論点が上がっております。その現状で言うとどんどん数が進んでいく中で、そういった質の部分っていうものが今課題になっているというところが現状として挙げられるんじゃないかなというのは思います。

仲地:はいありがとうございます。いろいろ考えてしまいましたね。

画面の向こうにいる皆さんにも分かりやすいように私のスタンスをちょっと明確化しておこうかなというふうに思いますけど、私は最後の方であった代行ビジネスのことを今日は雇用代理ビジネス、雇用代行ビジネスと呼ぶようにしますけども。僕はやっぱりあんまり理解できないっていうスタンスです。

でそれがいろんな論点があるんですよ。賛成反対だけじゃないし、そういう二極化した話で語れるほど簡単でもない。最後に金川さんが出されたようにILOや国連勧告、障害者権利条約に対しての勧告ですね。パラレルレポートがどういうことを示しているのか、その辺についても考えないとこの課題はなかなか、自分なりの答えで出すのは難しいんじゃないかなって思ってますけどもね。

金川:そうですね、ちょっとこの議論をもう一回おさらいをしたいと思います。

例えば、ドリンクを作ってる会社があったとして、その会社はドリンクを作るっていうのが本来の主業であると思うんですよね。ですけどドリンクを作る会社がそこでドリンクを作るっていう業務に関して障がいのある方を雇うのが難しいので、じゃあうちではやっぱ無理だから外部に委託しようっていうことで、そことは全く関係のない業務をやっている会社、場所を提供する会社のところで自分たちが雇った障害のある方を働いてもらおうと。その代わりその場所を提供してる会社に紹介料を払うと、自分たちの業務の中で仕事を切り出すのが難しい、そこにコストをかけるのはちょっと大変だっていう風に思った会社が、そういう費用をかけることで障害のある方の雇用率や雇用っていうものを解決していこうという仕組みの話なんですね。

仲地:この事って例えば障害者雇用率を買ってるっていう言い方になりません?

金川:とも言えますね、私もそれは個人的には思ってます。日本の経済の仕組みって、ソーラーの電力買ったりもそうですし、炭素とかを全体的に何パーセント達成するっていう数字があるんですけど、それも売り買いができるんですよね。環境の達成数字っていうのも売り買いできるんですよ。そうするとみんなでその数字を達成するためには自分たち事業者で達成するの無理だから他の事業者が頑張ることを応援しよう。合理的にスピーディーに解決数字を達成していきましょうってなるので、そう考えると仲地さんが言う数字を買うっていうのは日本の経済的な概念で言うとあるシステムなのかなと。

仲地:それって数字しか扱ってないじゃないですか。やっぱり人なので、その辺はやっぱり数字の売り買いっていうことにはいかないかなといういうふうに思うんですね。

金川:そうですねで、これに関して例えば障害のある方が働くっていうところで、さっき言ったみたいに日本の障害のある方の賃金ってすごく低いと言われてる中で、例えば本来だったら福祉施設とかで、作業所とか、B型って言われるところで働くっていうところまでの賃金しか稼げない方でも、こういったところで働くことで賃金が一気に最低賃金以上もらえることがあるので、稼げる人が増えたことと、障害のある方が働いてる人の数が増えたという意味でのインパクトはすごいと思うんですよ。数字的なインパクトは大きいと正直思っています。

仲地:稼げるようになったっていうのは確かにそういう人がいるかもしれない。例えばB型雇用だった人が一般雇用風な感じになってますよ、形状は雇用契約結びましたよという人がいるかもしれませんけど、これに対して私はこの制度が規制入ったら雇用じゃなくなる可能性もあると思うんですよ。そうすると障害者雇用促進法の理念や目的にある共生社会の実現とちょっと違うわけですから、なのでそれは規制が入る可能性は十分あるんじゃないかなと思って。そうなった場合にすぐ切られてしまうんじゃないかなって。稼げるようになりましたと、この一時的な状況だけを見てしまって言っていいのかなって思うんですね。

金川:皆さんに注目していただきたいのはこういう見方の考え方もあればこういう見方もあるんですよ。世の中にちゃんと数字上げてるからいいじゃないかっていう人もいれば、いやいやそれは考え方的にどうなんだっていう人たちがいて、この界隈では対立論が結構ある、議論ですね。

仲地:そうそう、法的に黒じゃないうところが。

金川:そうなんですよね、これ厚労省が法律的には問題ないっていうふうには認めているんです。

仲地:問題ないっていうか黒じゃないっていう。

金川:現状では存在は認めるというか状態になってます。

仲地:だから理念とか、その企業文化っていうところにどういうふうにこれが映るのかっていうのは今後はその障害者雇用に携わる企業側も支援者側も、そういう倫理観を持っとかないといけないんじゃないかと思うんですね。

金川:そうですね。この障害者雇用だけではなくって、やっぱり倫理観とか、企業当事でガバナンスとか、やっぱりモラルっていうのが非常に問われてる中で、こういったやり方がどうなんだという側面があるというのも知っておくべきなのかなっていうふうに思いますね。

個人的にはこの話で思ってるのは、ビジネスモデルとしてはすごいものがあるなと思うんです。障害者雇用が達成できない企業と、賃金が上がらない障害のある方を合理的に解決するっていうビジネスモデルなので、困っている人をちゃんと巻き込んでビジネスで解決するっていう手段としては、すごいよく考えられたものだなっていうふうに思うんですけど。

唯一残念なのが、例えば作ったものをなんで自分たちの中で消費するんだっていう。世の中にちゃんと経済の中で投下して、自分たちが売ったものが自分たちの作ったものが世に出回る。で、それを評価してもらう。僕たちの存在意義って社会の中でちゃんとあるんだって考えられる作業を通じた体験っていうところに落とし込めばいいのに、何でそこまで頑張らないんだっていうのが私の思うところなんです。

だからモデルとしては素晴らしいと思ったんですけど残念だなっていう。あとちょっとやればもっといいものになるのにっていう。例えば自分たち作ったものを永遠に中で消費し続けるだけになるので、そこがちょっと残念だなっていう個人的な見解はあります。

仲地:はいそうですね。だからビジネスモデルとして成り立ってはいるけど、利害関係が一致するっていう意味で、成り立ってるんですけども、ビジネスモデルとして素晴らしくないなと思うのは障害者雇用をコストにしてしまうことになる。つまり資質だけになるんですよ。

本来であれば人件費って会社にとっての投資であるはずだし育てていって会社も一緒に大きくなる、強くなる。もちろん人件費も上げていくというのが僕は人件費だと思っていて。じゃなくてこれはそんなことにならない、コストになるので、僕はビジネスとして優れてるとは言わない。

金川:なるほどね、今仲地さんがおっしゃっていただいたところはすごく私も大事だと思っていて、コスト費用で考えるか投資で考えるかって考えると、皆さんも目の前で自分のお金が減っていくことってすごく心痛むじゃないですか。でも自分の減らした金が将来倍になって帰ってくるって考えると、投資になるんで前向きになれるんですよね。この話ってやっぱり今起きてる問題をいろんな労力を金で解決しようって話なので、確かに仲地さんが言うように、費用になってるんですよね。本来だったら何か自分たちの会社の中で与えて障害のある方がもっと成長して、例えば自分たちの本社に来てもらうような業務に戻せるように仕組み作ったりとかすると投資になるんですよね。そこまでちゃんと考えるモデル、さらにアップキャリアアップとかそういう仕組みをちょっと足すだけで今の問題を解決できるんじゃないかなっていうふうに思ってるんですよね。

仲地:おっしゃる通りだと思います。だから代理雇用ビジネスに例えばそのキャリアアップとかそういう視点が入ると私の見方も少しずつ変わってくるかな。本社事業とか本社事業の戦力になっていくのかどうかとかですね。

金川:そうですね。なので改めて整理すると、今言ってたこういった方々の雇うことを今後発展させていく、質を発展させていくことなんですよね。発展させていくっていうところをどうなんだっていうポイントが一個と、あと仲地さんが言ったそのインクルーシブですよね。包摂的に考える、要は一緒にやる中で完全に分離してるんじゃないかっていう問題点。この問題2点が実は大事なところなんですね。例えばこの分離してる状態って仲地さん的には捉えてる。

仲地:はい、そうです。だから金川さんのプレゼンテーションの中にもありましたように、ILO勧告とあとは国連勧告がありましたけども、そのパラレルレポートの中で指摘されたこと、教育もありましたけど、障害福祉について主に今回言われているんですけども、障害者の権利条約ということにおいて国際的に照らし合わせるとどうかっていう、時に日本は大きく僕の中で指摘されたことが心に残っていて、この金川さんの話に出てきた分離主義、そして父権主義この二つはもうはっきりと指摘されたところなんですね。父権主義とはパタナリズムつまり障害者って決めれない人だから決めてあげましょう、できない人だからやってあげましょうというか、パタナリズムですけど、もちろんそんなつもりで仕事してる人っていないと思うんですよ。

自己決定とかが大切ですよって言われてる中で大切にしてるつもりだと思うけどもやはりそれでは気づかない。日常生活の中でそれが文化として、我々の価値として根付いてしまっていてなかなか中にいると気づけない事って多いと思ってるのでその辺はやっぱり気づいていかないといけないっていうのと、あとは分離主義っていうのがやはり国際的に見るといびつなんだろうと思います。

金川:どういう風にですか。

仲地:単純に分けてるから、教育にしても雇用にしても何にしても。障害者っていうのを分けすぎてきたんじゃないかなっていうふうに思うんですね。そういうのに気づかないぐらい社会が負けてしまっている。その障害者雇用促進法においてこの雇用義務というのができた時も一緒に働くっていうモチベーションがなんか無い。

日本の障害者のパーセンテージって7.数%なんですけど。国際的なものとかWHOとかその辺の国際的な数字っていうのは十数%なんですよ、世界的っていうのは。日本がなぜ少なく出るのかっていうのはちょっとわかんないんですけども、社会っていうのは結局十数パーセントの障害者がいるっていうのがノーマルなわけじゃないですか。それをたった2.何%をも一緒にできないって、どれだけノーマルじゃないのって思うんですよ。だからいびつに見えるんじゃないかなっていうふうに思いますね。

金川:別に私もそれはすごい思うんですけど、なんでわざわざ分離さすんでしょうね。すごく大事なところなんです。わざわざ分けるという施策を取るっていうのはこの国において一緒じゃなくてなぜだとかっていうのは。

個人的には障害者雇用の支援をやっていく中で、現場に行くと障害のある方と周りの従業員の方が一緒に働こうと思った時に、異文化同士が混ざるので、衝突が起きることがあるんですよね。双方が言ってることがよくわからない場面とか、双方の文化の中での主張、うちの会社のルールではこうだ、僕のルールではこうだで僕ルールと会社ルールがぶつかるみたいなのもよくありましたし、その衝突を避けたい。避けたいがためにこんな感じの施策を取るのかなと。包摂的にする時、文化を織り交ぜる時ってだいたい衝突って起きることが多いと思うんですよね。それを避けるためにわざわざこんなことしてるんじゃないかなって個人的に思ってるんですが。

仲地:そういうことはあるでしょうね。それの乗り越え方っていう手間を省いてしまっているんですよね。本当はそこで語り合いが必要だし、お互いの価値を、価値観を確かめ合って、あなたはこう考えるし私はこう考えるし、じゃあどうしていきましょうかとか、そういうのやっていかないといけないけどそういうのを省こうとしてるんだよね。

金川:そうですよね。仲地さんも前に会社の中で障害のある方と一般従業員を一緒に行っていうところをやったりもされたと思うんですけど、折り合う、一緒に共生していく、分断じゃなくてそれをしていくことは大変なんですか。

仲地:まあ大変でしたね。ここまでいって違うことを言うような感じになるけども。

昔、焼肉店をやっていた時期がありまして、そこでは最初A型で障害者雇用始めたんですよ。就労継続支援A型事業でやっていると焼肉店の事業収入よりもどんどん福祉収入の方を重視するようになってしまっていて。もちろんA型の福祉収入がありますよね、給付費収入と言われるのがあってその他にも特会金っていう助成金や、報奨金っていう助成金。こういう風に障害者を雇用すると何通りかの収入口が出てくるわけですね。飲食収入よりそっちの方がなんかメインになっていって、結局は何が仕事になってたかっていうと、その従業員であるはずの障害者が休ませないことを仕事にしてしまったりとか。あとは雇用しないでいいのにもう一人雇用しようと頑張ってしまったりとかしてどっちがお客様なのみたいな。

障害がある従業員でもできる商品ばっかりにしてしまったりとかですね。そういうふうなことで従業員であるはずの当事者、従業員のお客様性が増してしまったことがあってA型をやめるということになるんですけども。その時に12人中9人の当事者という飲食店になりました。これは雇用率でいうと70数%なんですけども。それで2年間ぐらいは黒字化してたんですね、その時はもう本当にいろんな努力をしてました。

この時に混ざるかどうかとか、いわゆる障壁コンフリクトみたいなことが生じないかっていうと、生じるんですよやっぱり。その障害者雇用を始めるときに店長が、障害者雇用は水と油だと思うっていうような話をしたことがあったんですよ。自分はそんなはずはないって思ってたんだけど、やっぱり水と油っていう所って出てきたんですよ。それは何かっていうと、障害者雇用っていうそこですでに水性と油性ができていて、私たち従業員ね、あなたたち障害者雇用ねみたいな話でA型だったらなおさらですよね。

従業員でも利用者でもあるという属性があるわけなのでこの辺は非常に混乱しました。利用者っていう立場とかあとはその障害者雇用っていう枠組みがあるとどうしても支援する側される側っていうようなスタンスが生じてしまってそこに軋轢は生じたので一般雇用に切り替えて全員でやってこうっていう時には、支援する側される側っていう向き合った関係性をどうにかお客様の方に一緒に視線を並んで向こうを見るというような姿勢合わせに一番時間使いました。

お客様目線っていうことがどういうことかっていうのを週に1回2時間全員で勉強会をやったりとかで、そのシミュレーションとかの、例えば忙しい時間ってみんなイライラするじゃないですか。そういう時に1人が不機嫌な態度を出してしまうと連鎖するじゃないですか。例えば洗い場の人にお皿を投げてしまった。

金川:ありますよね

仲地:嫌な気がした、ゴミ箱蹴っ飛ばすとか実際あるんですよ。そういう時に今やらないといけないことは何なのかっていうのを、例えば場面をもう1回振り返りながらこの時お客様目線で必要だったのは何ですかみたいなことをみんなで話し合ったりとかそういうことにすごい大きな労力と時間を使いました。

私が今日こういうスタンスで話してる理由にもつながるんですけども、そういうことをしてるとマネージャーの店長レベル、マネージャーの力がすごい上がってきました。例えば本人の機嫌が悪い時にはいつ面談をしようかみたいなことが判断できるようになってくるんですね。今話さないといけないことなのか、ちょっとランチタイムなんかを終えてから話してもいいのか、それとも勤務を終えた時に話してもいいのかっていう判断ができるようになっていったりとか、そういう風になっていくといわゆる企業文化として多様な職員をこう一緒に働くっていうことができてきたりとか、あとはその障害者雇用っていうのは障害者は非常に成長して伸びしろも大きいですので、成長をみんなが感じられるんですね。これに超すモチベーションていうのがないですね。人が成長するっていう場に立ち会えるとすごいモチベーションになりますので。話しすぎましたけど、衝突ってのはありますね。

金川:今日のこの議論の中で分離は良くないじゃないかっていう問題は我々の中でてるつもりなんですよね。でもなんで分離をしなくちゃいけないのかっていうところは考える必要があると思っていて、でもやっぱりそれって今仲地さんが言ったように、一緒に包摂的にする時に対立が起きるやっぱその対立にはコストがかかる、時間と費用がかかるって考え方になってしまうんですね。でも仲地さん的にはそれは投資なんだというのを今おっしゃってくださったのかなと思うんですけども。

仲地:さすがですね。

金川:ありがとうございます。こういった論点する時に問題点っていうものを拾い上げたり目に見えるもので、ちゃんと本質を見ていくとそこには難しさがちゃんとあって、今回で言うと対立が起きる、で対立には労力がすごいかかるんだっていうところ、だからその能力をどうやって軽減できるかっていうのがさっき言った分離するっていう。企業って合理的に物事を考えていくので、労力よりは合理的かつスピーディーに物事を解決することがもちろん、大事なので多分仲地さんも経営やられてる部分なのですぐわかるかなと思うんですけど。

仲地:でもさやっぱり豊かさとかそういうのがね抜け落ちちゃいますよ。

金川:そうなんですよね。

仲地:ギスギスするし、その合理的って言ってる土俵が狭まっていって、いつかあなたもはみ出ますよっていう、知らない間にはみ出てますよっていう企業になります。

金川:そのはみ出てるっていうのはどういう意味で。

仲地:普通とかノーマルの土俵が狭まっていくんですよ。でいつの間にかはみ出ちゃう。つまりそういうのがメンタルヘルスの失調をきたして休職するとかそういうことにつながっていく。障害者雇用って我が事でもあるわけですよ。自分がこの場にいるためにやっぱり社風を作っていこうとかそういうことにもつながっていくわけなので。その合理性だけではやっぱり判断できない部分がこの障害者雇用っていうことに含まれてると、で衝突を回避することやそれを乗り越えることを回避することにコストを使うっていう判断は成長の妨げにもなると思いますよ。

金川:なるほど。

仲地:成長の差は、人も成長するにあたっては精神的な成長するにあたっては乗り越えないといけない課題って人生でいっぱいあるわけじゃないですか。思春期もそうだし恋愛もそうだしでしたでしょ。人の成長にも必要だけども企業もそういう労力をカットすると、やはり殺伐としたり、そういう企業文化や社風を作っていくのに企業が困るんじゃないかな、社風を作るって金払ってもできないですからね。

金川:そうですよね

仲地:だからわざわざその苦労はした方が僕は良いかなって、その方がノーマルかなって思って。だからまずは社会貢献で障害者雇用してますよっていうのは、ちょっとおかしな話だと思いますね。もうちょっと我が事ことで考えた方がいいかな。

丸

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