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【注意機能】不注意になるのはADHDだけじゃない?

前回のコラムでは、精神疾患で低下しやすい脳の機能である認知機能についてご紹介しました。今回は認知機能障害の中から、注意機能についてご紹介します。

(前回のコラムはこちら→https://www.1more.jp/column/957/)

注意機能とは

注意機能とは、簡単に言うと”気を付ける力”です。包丁で野菜を切るときに怪我をしないように”気を付ける”、車を運転するときに信号を見落とさないように”気を付ける”、メールを打つとき誤字をしないように”気を付ける”など、これらの場面はすべて、注意機能を必要としています。

認知機能の中でも特に基礎的な機能で、細かく分類すると四つに分けることができます。

四つの注意機能

注意機能は、役割によって「持続性注意」「選択性注意」「転換性注意」「分配性注意」の四つに分類することができます。それぞれの役割は以下の通りです。

持続性注意・・・集中を持続させる力

選択性注意・・・複数の刺激の中から一つに注意を向ける力

転換性注意・・・注意を切り替える力

分配性注意・・・複数のものに同時に注意を向ける力

この四つの中でも、得意と不得意が分かれることがあるので、自分にとって何が得意で何が不得意なのかを知っておくことが大切です。また、注意機能は基礎的な機能とお伝えしましたが、注意機能が低下しているイコール症状が悪いまたは良いというわけではありません。あくまで、得意な分野と苦手な分野のようなイメージであると知っておきましょう。

注意機能×仕事

ワンモアでは、認知リハというプログラムを実施しており、その中で不得意な認知機能への対処法を学びます。認知リハのプログラムは、コンピュータゲームを行う時間と話し合いの時間で構成されています。

注意機能が必要な仕事

では、仕事をする上でどんなときに注意機能を使うのでしょうか?

答えは、”ありとあらゆる仕事や場面”で必要になります。最初にお伝えしたように、注意機能は認知機能の中でも特に基礎的な機能です。そのため、注意機能を必要としない仕事はあまりありません。

今回は、注意機能を特に必要とすることの多い例をいくつかご紹介します。

店で接客をしている最中、困っていそうなお客様を見つけて声をかける(選択性注意が必要)

パソコンで作業をしている最中、電話が鳴ったら気持ちを切り替えて電話対応する(転換性注意が必要)

車の運転中、標識に目を配りながらお客様と会話をする(分配性注意が必要)

このように、業種を問わず”気を付ける”必要がある場面では、注意機能が必要になります。そのため、注意機能が不得意な方は、多くの場面で不得意な注意機能をカバーする工夫が必要になります。

注意機能を鍛えるには?

注意機能に苦手がある場合の対処法は、大きく分けると”機能の改善”と”工夫(環境整備)”です。

まず機能の改善とは、不得意な機能を鍛えることを指します。認知リハでは、コンピュータゲームの時間に、間違い探しやもぐら叩きなど、注意機能を必要とするコンピュータゲームを、パソコンやタブレットで行います。これは、意識的に注意機能を使うことで脳の筋トレをしているようなイメージです。

また、鍛える以外の方法で不得意な機能をカバーすることも可能です。ゲームの中でよりスコアが高くなるための戦略を考えたり、話し合いの時間に認知機能が仕事や日常生活にどう関わるのかを考えたりします。これが対処法の二つ目である”工夫”です。

工夫の具体例を一つご紹介します。

Aさんは、集中して仕事に取り組み続けるのが難しいと感じています。

話し合いの時間に注意機能の話を聞いて、持続性注意が苦手かもしれないと考えるようになりました。

「15分は頑張って集中しよう!」と考え、15分に一度飲み物を飲んで背伸びをするようにしました。しかし、目の前を通るスタッフや隣の利用者さんのことが気になって、キョロキョロしたり考え事をしたりしてしまいます。

スタッフはAさんの話を聞いて、集中を持続させるのが苦手なのではなく、視界に入るたくさんの刺激から、自分の課題にだけ注意を向けることが難しいのではと考えました。そこでスタッフから、壁際の席を使って、スタッフや他の利用者さんが視界に入らないようにしてみてはどうかと提案しました。

Aさんは壁際を向いて作業するようにし、15分に一度の休憩も続けました。すると、スタッフや利用者さんのことが気になることが減り、課題に集中して取り組むことが出来るようになりました。

この例では、Aさんは集中できる時間が長くなったわけではありません。たくさんの刺激がある中で集中することが難しかったため、壁際を向いて刺激を少なくするという工夫を行いました。それによって、認知リハに取り組む前よりも長い時間、集中して課題に取り組むことができるようになりました。

 このように、認知リハの中では、機能を鍛えることと同じくらい、不得意をカバーする工夫を考え実践することを大切にしています。

さいごに

今回のコラムでは、注意機能についてご紹介しました。

ワンモアが支援している利用者さまの中にも、注意深く作業することや集中して課題に取り組むことに難しさを感じている方がいらっしゃいます。そのような方向けに、認知リハというプログラムを実施しています。認知リハについても、どこかの機会で詳しくご紹介できればと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。ワンモアでの支援にご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

丸

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